2回にわたって「クラウド会計のメリット・デメリット」をお伝えしています。
後編の今回は「クラウド会計」の「デメリット」です。
便利なクラウド会計ですが、導入による弊害や注意点はあるのでしょうか?
先程、メリットで挙げた「仕訳の自動化機能」ですが、基本的にはコンピュータが取引を認識しながら「予測」で仕訳を作成します。
そのため、クラウド会計を利用し始めた当初は、人間が「取引と仕訳をひもづける作業」が必要となります。この作業が非常に重要であり、最初にこの作業を行うことで、はじめて「自動仕訳機能」が有効にはたらき、経理の省力化につながると言えます。
反対に、導入当初にこの「取引と仕訳のひもづけ」作業を適当にしたまま、自動で仕訳を生成し続けてしまうと、会計データが使い物にならず「1年分のデータの再入力が必要になる」というトラブルも出てきてしまいます。
クラウド会計の自動仕訳機能も万能ではなく、会計を理解した人間のチェックは不可欠です。「省力化」のつもりが「二度手間」にならないよう、機械と人間の役割分担が必要です。
これも「仕訳の自動化」による弊害ですが、「仕訳が自動化」された場合、伝票作成業務が省かれるのと同時に、「伝票作成業務に対する責任の所在」もあいまいになりかねません。「誰も知らないまま勝手に仕訳ができていた」という事態も考えられます。
この点についても「仕訳の自動化」=「経理担当者が不要」ということではなく、効率が図れる良い面を活用しながら、最終判断は人間が行う、という仕事が後々のトラブルを防ぐと思われます。
これは会計事務所側の問題ですが、「離れた場所にいても同じデータを見ることができる」ため、どうしても直接会うための「労力」や「時間」を省略した業務になっていきがちです。さらに「行かなくてもよい」や「会わなくてもよい」から発展して、コミュニケーションの機会まで省略されてしまう可能性があります。私は月に一度「お客様と前月の試算表を確認しながら業績の話をする」機会を作ることも会計事務所の重要な役割だと考えています。お客様のニーズをお聞きしながら、すべてを省略してしまうのではなく、必要なことを続けることも大切だと感じています。
いかがでしたでしょうか。”便利さ”からくる弊害も理解しながら、経理の効率化のために上手にクラウド会計をご利用いただければと思います。
zeirisi青葉会計は長野県長野市の会計事務所です。クラウド会計を活用した経理の効率化もご支援いたします。
松橋丈雄(税理士・長野市)
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