税理士の松橋です。今回は、税務行政についてのお話しです。
国税庁は、「税務行政のICT化」をこの先10年の方針として掲げています。
具体的には、納付手続きを口座振替にする「ダイレクト納付」の推進や
税務調査、税務相談にAIを活用することなどが、その内容です。
人口減少時代のなか、民間の企業だけではなく、公官庁の現場にも
限られた職員数で効率的に事務運営を進めることが求められてきているのだと思います。
AI導入の着手として、早くも来年2020年1月から「チャットボット」による税務相談が
国税庁に試験的に導入されるそうです。
この「チャットボット」とは、いわゆるチャットであり、LINE等のアプリのように
対話形式で文字を打ち込み利用するイメージが近いようです。ただし、対話の相手は人間ではなくAIが行う点が大きな特徴です。
AI(ロボット)が提供するサービスであるため、土日・夜間を問わず対応可能、というのも利便性が高いですね。
この「チャットボット」は、試験導入当初は税務署所在地の案内や簡易的な内容の税務相談からはじめ、順次対応範囲を拡大する予定、とのことです。
今回ご紹介した「チャットボット」のようなサービスが普及していくと、どのような変化が考えられるでしょうか?
現在でも一般的な税金の取り扱いについては、ネット検索で、ある程度の情報が得られるため、納税者の方がインターネットを利用して自分で解決できる時代になってきています。「チャットボット」等の登場により、この流れがさらに加速するとも考えられます。
ただ、ネットやAIによる「回答」は、あくまで「一般的」なものや「教科書的」なものであることも事実です。個々の会社や事業者の状況を把握したうえで、出てきたアドバイスではありません。一人ひとりの人間が異なるように、会社や事業者の状況もそれぞれ異なります。顧問税理士として、長くお付き合いさせていただく関係だからこそ、お客様の個別の事情やニーズを把握し、解決策を考えていくことが、これからの税理士の役割だと考えています。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
松橋丈雄(税理士・長野市)
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