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2019.07.31 | 会計・税務

会社設立の実例 カフェを開店したAさんの場合ー長野市

Aさんは、脱サラをして念願のカフェを開店しました。今回は、会社設立までの流れをAさんが開業するまでを例に見てみましょう。

1.まずはテナント探し

Aさんは、法人設立の前にテナントの物件探しから始めました。飲食店の場合、店舗の立地も「お店が繁盛するか」にとって重要なポイントになるためです。駅から徒歩圏内か、駐車場はあるか、お店の周辺はターゲットとなるお客さんがよく通るか、周囲にライバルとなりそうな店があるか等、イメージしている店舗にできる限り近いテナントを見つけるため、前職の会社を退職する前から時間をかけて店舗を探しました。その結果、希望していたイメージに近いテナントを見つけることができました。

2.カフェ開店の準備

テナントが決まったAさんは、続いてカフェ開店の準備を行いました。具体的には、業者に内装工事の見積もり依頼、食器類やテーブル、イスなどの備品の準備、メニューの構築、食材や飲料などの仕入先の選定等を行いました。人件費を抑えるため、飲食店で働くスタッフは当面、AさんとAさんの奥さんの二人で対応することにしました。

テナントが決まり準備の段階になると、開店準備のための資金(設備資金)と営業開始後に必要なお金(運転資金)がイメージできるようになり、「カフェ開店に必要な金額の全体像」がわかってきます。

3.金融機関へ創業融資の相談

「開店に必要なお金の全体像」がわかったところで、Aさんは金融機関へ創業融資の事前相談をしました。開業のため自己資金も準備していましたが、自己資金だけでは足りなかったためです。まだ会社の設立はされていませんでしたが、金融機関と新規で取引を開始する場合、融資実行までに1か月以上の期間がかかることも珍しくありません。また、創業融資の場合には、多くのケースで事業計画の作成を求められるため、Aさんのように事前に相談をしておくことで、資金準備がスムーズに進みます。

4.法人設立登記(司法書士)

カフェの営業の場合、個人事業としてスタートすることも可能です。しかしAさんのケースでは、奥さんと共同で開店資金を出資することとしており、またAさんと奥さんがそれぞれにいくら出資したのかを明らかにしておくことを希望されていました。そこで、出資持分が分かりやすい法人形態での起業となりました。

 

法人の設立には法務局への登記手続きが必要となります。Aさんは、知り合いの司法書士に依頼しました。登記内容として①会社名②資本金の金額③事業目的④取締役⑤決算期などの情報が必要となるため、司法書士と打合せのうえ決定し登記手続きを進めました。

登記手続きにかかる期間としては、法務局の混雑具合にもよりますが、申請から1~2週間必要です。法人が設立できないと、テナントの賃貸借契約、預金口座の開設、融資の実行等が進まないことが多いため、計画的に手続きを進めましょう。

5.会社設立登記が完了したら

法人の設立登記が完了すると、法務局で「登記事項証明書」を入手することが可能となります。この「登記事項証明書」が添付書類として必要な手続きはつぎのとおりです。Aさんも登記が完了してからすぐに手続きを行いました。

・保健所へ営業許可申請(行政書士)

・会社の預金口座開設

6.預金口座が開設後に行ったこと

会社の預金口座が開設すると、いよいよ事業に関連するお金のやりとりを会社の預金口座を通して行うことができるようになります。Aさんも具体的には、つぎのような手続きを行いました。

・資本金及び創業融資金の振込

・開店のための設備資金、テナントの敷金礼金等の支払い

・電気代、ガス代、電話代、テナントの家賃等、口座振替の申込手続き

7.会社設立届等(税理士)

会社を設立したら、下記のような書類を提出することが必要となります。提出期限が定められている書類もあることから、「会社を設立した日から3か月以内」に手続きすることが必要です。

・法人設立届(税務署・都道府県・市町村)

・青色申告承認申請書

・給与支払事務所の開設届

・源泉所得税の納期の特例の申請書

こうした手続きを経て、Aさんは念願だったカフェを開店することができました。

今回は、カフェの開店までの流れをご紹介しましたが、多くの手続きがあることがおわかりいただけたかと思います。業種によって事業開始までに必要な手続きには違いがありますが、準備を進める際の参考にしていただければ幸いです。

松橋丈雄(税理士・長野市)

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