起業した方が事業を始めるときはまず「個人事業」で開業し、その後タイミングを見て「法人化」するケースが多いですね。実は弊社の場合、税理士の業界では二人以上の税理士が集まると法人化することができるため、共同経営の一つの形として法人を選択したという経緯があります。
自分で事業を始めようという意欲的な人の場合、最初は個人事業でも「いつかは法人化したい」と思っている人は多いですね。
この「個人事業」から「法人化」するときのタイミングですが、検討するべき時期がいくつかあります。どんな時が思い浮かびますか?
答えは…
①売上高が1000万円を超えた
②社員を雇うようになった
③共同経営になった
④複数の出資を受けるようになった
⑤(BtoBなど)対外的な信用を高めたい
などです。詳しくみていきましょう。
法人化を検討する理由としては、これが一番多いかもしれません。個人事業で経営している場合、たとえばx1年の年間の税込売上高が1000万円を超えると、2年後のx3年に「消費税の課税事業者」となります。「消費税を納める義務」が発生するわけです。そのため、課税事業者となるx3年に法人を設立することで、消費税の納税を2年間先送りする、というものです。
スタートアップの起業家にとって、消費税の納税義務がないこの数年間は、内部留保を厚くして事業を安定させるための重要な期間です。この時期に一生懸命お金を会社に残し、その後の事業を軌道に乗せている経営者の方も多いです。
人手が必要になり、社員の方を雇用するようになるのも、法人化を検討するタイミングです。
とくに採用の場面を考えると、応募者の立場からすると個人事業と会社形態の二社があった場合、採用により有利なのは会社形態でしょう。
会社の場合は「二人代表」といって、二人で代表取締役を務めることが可能です。また「役職」を利用して、共同経営者それぞれの組織内の立場をある程度自由に設計できるのは、会社組織の優れた点です。複数の人間で経営をしていくようになったら、法人化を検討する良い時期だと思います。
これは実際、弊社のお客様であったお話ですが、事業が成長していくと、複数の方から「出資したい」と申し出を受ける場合があります。事業に対する出資者が経営者一人だけの場合には、個人でも会社でも違いはありませんが、他人から出資を受けるとなると話は違います。そのお客様は出資のお話しがあった段階で法人化し「出資金を受け取って、株式を発行する」という株式会社の機能を利用して、事業をよい形に成長させています。
とくに製造業や建設業など、BtoBの事業に多いのが、個人事業ではなく「スタートから会社形態で起業する」ケースです。1のような税務上のメリットよりも、取引先からの受注を優先するため、信用を得るために法人化する会社もあります。
いかがでしたでしょうか?今回ご紹介したような事例を法人化を検討するキッカケにしていただければ幸いです。
松橋丈雄(税理士・長野市)
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