3%=762,500円 2%=508,334円 1%=254,167円
上の数字は、1,000万円を借入した場合における利率の違いによる年間の利息支払額の違いを表したものです。「事業の好不調は、詰まるところ”借入利率の差”に表れる」とも言われます。今回は、4種類の金融機関からの資金調達方法をお伝えします。
これが最も身近な借方かもしれません。証書貸付とは、5~7年程度の長期間で返済していく借入金のことです。事業用の証書貸付の場合、「元金均等」といって毎月定額の元金+利息を返済していくケースが多いです。
長期間で返済していくため、証書貸付は、クルマや機械、器具備品など「設備投資」や事業開始等の「運転資金」として利用するのに適しています。
会社の経理上、借入金の返済元金は「経費」になりません。そのため「税引き後利益」(稼いだ利益から税金を払って残ったお金)から返済してくことになります。これは「せっかく稼いだ利益から、税金を払って、その残ったお金から返済する」ということになるため、会社の資金繰りに重くのしかかってしまいます。しかし、証書貸付を設備投資に利用することで、より優位に進めることができるようになります。
固定資産を購入すると、「減価償却費」が経費として計上されます。簡単に言うと、減価償却費とは、購入した固定資産の金額を利用可能な金額(耐用年数)のことを指します。たとえば1,000万円で購入したトラックが5年間使用可能な場合、1,000万円÷5年間=200万円が減価償却費として、経費に計上されます(説明の便宜上、分かり易い数字を使っています。実際の計算とは異なります。)。
一年間の減価償却費200万円は、トラックの購入金額を5年間で割った計算上の経費なので「お金が出ていかない経費」と言えます。また、トラックをフルローンで購入した場合、借入金額は1,000万円ですが、5年間で返済すると一年間の返済元金は200万円です。このようにすると、年間の返済元金200万円は経費にはなりませんが、代わりにトラックの減価償却費200万円が経費として計上することができ、結果として返済金額を経費として計上しながら、借入金を返済していくことが可能となります。税引き後利益からさらに借入金を返済する、ということが無くなるわけです。
手形貸付とは、借主が銀行に対して手形を振り出し、銀行はその手形の額面金額から利息を差し引いた金額を借主に対して貸し付ける、という融資形態です。
この方法は、一年以内の短期間の融資に用いられることが多いことから、一時的な運転資金の調達に利用されます。
たとえば、建設業で大きな工事を受注した場合では、材料費や外注費、現場経費などの金額が大きくなりますが、一方で工期は長くなり、また工事の契約内容によっては完成まで売上金額が入ってこないなど、支払いが先行しすることで”経費を一時的に立て替える”ことにより資金が必要になります。このようなときに手形貸付であらかじめ必要資金を借入して支払い、工事完成後に受注金額が入金したら返済する、という取引が行われます。このほかの例として、造り酒屋など、年に一回だけ仕込みを行い、製造した製品をその後年間を通して販売していく場合などでも、この手形貸付を利用して資金繰りを行っているケースが挙げられます。
手形割引は、売掛金の回収として取引先からもらった手形を期日前に「割引」することによって、手形の決済期日前に現金を入金してもらうことを指します。
手形の決済期日は、振出日から3~4か月後であることも多く、売上げが現金化されるまで長期間待たなくてはなりません。その間も仕入金額や経費は発生するため「入金がないのに支払いをしなければならない」という状況になってしまいます。そのようなときに手形割引を利用することで、現金が入金されるまでの期間を短縮することができ、入金された金額を支払いに充てることができるようになります。
手形割引が行われるのは、決済に「手形」を利用している業界で、主に建設業や製造業ですが、時代の流れからか最近は手形の流通自体が減少傾向にあるように思われます。また、期日前に入金するため、銀行に対して「割引料」を支払うことになります。銀行に割引料を支払う代わりに取引先へ値引きを行い、支払方法を「手形」から「振込み」へ変更する、というのも入金日の前倒しや万一の手形の不渡りに対して事前に対処していくことになるかと思われます。
当座貸越は、銀行と会社で専用の契約を結んでおくことで「預金残高がマイナスになっても極度額までは支払いが行える」借入れ形態です。通常の借入金はあらかじめ申込みを行い、融資が実行され、預金口座にお金が入金される、という流れで取引されますが、当座貸越を利用すると、事務手続きが省略されるため、利用者にはありがたい借入方法となっています。また、利息を支払わなければならない期間も「預金残高がマイナスであった期間」だけであるため、会社の利息負担が最小で済む、というメリットもあります。
そんなメリットが大きい当座貸越ですが、「借主にとって自由度が高く、便利な融資の方法」であるため、銀行での審査が厳しい場合も多いようです。
今回は、4種類の銀行からの資金調達方法をご紹介しました。お金の使い途に応じた調達方法をご検討ください。
松橋丈雄(税理士・長野市)
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