事業に携わる社長さんにとって
好きではないけれども避けて通れないもの
それが「税務調査」です。
社長さん同士の集まりでも話題にのぼることがあるようで
「税務署が、朝突然やってきた」や
「あそこの会社は○千万円追徴課税された」など
本当かウソかわからない噂話を聞くこともあります。
今回は、税務調査に立ち会う機会が多い税理士という立場から
「一般的な税務調査」がどんな流れで行われるかを解説します。
税務調査が行われる場合には、多くのケースで税務署から
税理士や納税者の方に事前に連絡が来て「日程調整」が行われます。
「ありのまま保存されている書類を確認する必要がある」など、
「特殊な理由」がない限りは、当日の朝突然来社されるというケースは稀ですので
ご安心ください。
会社に来る日数や人数は、会社規模等によるようですが、
経験上、日数は2-3日、調査官の人数は1-3人程度が多いように思います。
これも経験からお話しさせていただくと、
たとえば2日間の調査の場合、1日目の午前中は「会社の概況」を
社長へヒアリングするケースが多いです。
会社設立後、はじめての調査であれば、「会社起ち上げの経緯」や
「設立前の社長の職業」、「取引先」や「社員さんの状況」などの概況を
聞き取りします。
調査をする側からすると、限られた時間で効率的に確認するために、
概況を聞きながら「会社の全体像」や「取引の流れ」はもちろん、
「社長さんの家族構成」や「個人の性格」なども
把握しようと努めているのだと感じています。
ヒアリングが終わると、「会社の書類関係」を確認します。
確認する書類は、「請求書」や「領収証」、「決算書」や「総勘定元帳」などのほか
給与関係の「源泉徴収簿」や「賃金台帳」なども対象となります。
これも会社によって異なりますが、大体3年分の書類を
確認するケースが多いです。
余談ですが、過去の書類が整理されていないと、こうした調査の際に
困ります。いまは事務用にダンボールの文書保管箱が
売っていますので、「会計年度ごと」にまとめておきましょう。
税務調査では主に税務の観点からたくさんの事項が確認されますが
会計事務所として「ここだけはしっかりできていてほしい」と
常々感じているポイントがあります。
それは「売上計上」です。
現金や口座振り込みなど、入金方法にもよりますが、
「会社の売上が漏れずにすべて計上されていること」は
会社の経理体制の基本ですので、とくに注意したいところです。
会社での調査期間は数日間ですが、その後も事実確認などの
調査は続きます。長い場合では最終的な結論が出るまでに
「2-3か月かかる」場合もあります。
待つ期間が長い分、納税者の方にとっても負担が多いですが
日々の経理作業をしっかり行っていれば、調査に向けて特別な準備を
する必要もありません。
事業を行っている以上、税務調査は避けられないものであると認識して
「日常的な経理の仕組み」を会計事務所と二人三脚で作っていきましょう。
松橋丈雄(税理士・長野市)
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